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部活動指導に給与は発生しないの?【弁護士が解説】

法的手続の解説等 | 学校法務

2020.10.26

部活動指導に給与は発生しないの?【弁護士が解説】
Q.
学校の教員は授業の他に部活動の顧問も担当しており、土日休日も練習指導や試合等の引率があります。 部活動指導は賃金支払いの対象となるのでしょうか?

 

A.
 私立学校の教員の場合は、賃金支払いの対象となります。ただし公立学校の教員の場合は、対象となりません。

賃金支払いの対象となるか否かは、その業務が労働時間に含まれるか否かによって判断されます。たとえば、就業時間を過ぎてから私用の待ち合わせまで時間があったからと、職場でインターネットサーフィンをして時間を潰していた場合、これは労働時間に含まれません。では、放課後ににたまたま近くでトレーニングしていた運動部の生徒に腹筋のやり方を指導した場合はどうでしょうか。

※以下、私立学校の教員を前提に解説します。

 

労働時間に含まれるのはどのような場合?

労働基準法上には、労働時間についての定義はありません。したがって、労働時間に該当するか否かの判断は解釈によるのです。この点、最高裁は「労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものといえるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約・就業規則・労働協約等の定めいかんにより決定されるべきものではない」と判示しています。

つまり、 部活動の顧問としての対応が、使用者の指揮命令下に置かれたものといえる場合には、労働時間に含まれることになります。

 

「使用者の指揮命令下に置かれた」とは

ここでさら問題になるのが、「使用者の指揮命令下に置かれた」をどう解釈するかです。この点について、法律上明確な基準が定められている訳ではありません。

しかし先ほどのトレーニングの例でいうと、校長先生から「手が空いているんだったら、運動部にトレーニングの指導をしてよ」と言われていなかったとしても、指揮命令下に置かれたことになります。使用者(学校でいえば校長)が、当該労働を行っていることを認識しつつ、これを黙認・許容している場合は労働時間に含まれると考えられているからです。

学校では、当然ながら部活動が行われるものと考えられています。たまたまとはいえ、生徒から指導を求められたとき、指導すべきと思われる場合に教員が指導することは、当然との認識でしょう。よって、「就業時間後は、絶対に仕事をしないでください」と厳命されていたような場合以外は、労働時間に含まれます。

 

Q.
そもそも部活動は学校教育としてみなされる?

 

A.
学校教育の一環としてみなされます。

とはいえ、「部活動ってそもそも教員が関与する必要のある活動なの?」という疑問もあるでしょう。

実は、中学校学習指導要領において部活動について明確に記載されているのは、以下の箇所のみです。

教育課程外の学校教育活動と教育課程の関連が図られるように留意するものとする。特に、生徒の自主的、自発的な参加により行われる部活動については、スポーツや文化、科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵かん養等、学校教育が目指す資質・能力の育成に資するものであり、学校教育の一環として、教育課程との関連が図られるよう留意すること。

この記載からすれば、部活動は、

教育課程外の活動であって、生徒の自主的、自発的な参加により行われるものである

と同時に、

学校教育の一環として、学校において、学校教育活動との関連が図られるように留意を求められる活動

ということになります。このように定義づけてみましたが、この文面からは、実際にどのような活動と捉えられているのかは明確ではありません。

そこで、スポーツ庁の「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」を見ると、「運動部部活動は学校教育の一環として行われるものです」と記載があります。ただし、このように記載しながらも、「学習指導要領にこのように規定されたことをもって、生徒の自主的、自発的な参加により行われるとの部活動の性格等が変わるものではありません。」とも記載されています。あくまで生徒の自主的、自発的な参加により行われる活動であることが強調されているのですね。

これらの記載からは、部活動が教員にとってどのような性質を有するものか、つまり、教員が対応すべき業務(公務)とどのような関係があるのかが明らかではありません。ただし、学習指導要領及び上記ガイドラインは、部活動の運営として学校が対応すべき事項等を種々記載しています。このことから、部活動が学校において管理・運営されるべきものであることは間違いありません。

となれば、教員が部活動の指導等を行うことは、教員が対応すべき業務(公務)にあたります。そして、具体的な指示命令がなかったとしても、業務の性質上当然に対応すべき事項については、指揮命令下にあったものとして「労働時間」に含まれると解釈されます。したがって、たとえ校長(使用者)からの具体的な指示がなかったとしても、部活動の指導等を行うことは「労働時間」に含まれることになります。

 

おわりに

結論として、部活動の練習指導や引率等をした場合は労働時間に含まれます。法定労働時間を超えて対応した場合には、残業代の請求が可能です(公立学校の教員は公務員にあたるため、法律上請求ができません)。そのため、特に私学においては、部活動指導について教員が対応するのではなく、インストラクターに対応させる方針をとっている学校もあります。

インストラクターによる部活動の指導は、生徒・保護者の理解を得ることやインストラクターと教員との情報共有が必要となるなど、制度設計に種々の課題があると思います。しかし、教員の労働時間を軽減させること、及び学校の組織運営上の観点からも、部活動をインストラクターに任せることは特に私学では有効なのではないかと個人的には考えています。

 

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