保護者から強い要求をされた際の対応|会話の録音は法的に問題ある?
法的手続の解説等 | 保護者対応
2020.09.14
保護者から強い要望や難しい質問を受けた際の対応方法
学校において、保護者から強い要望や回答が難しい質問等を受けた経験がある教職員は多いのではないでしょうか。
対応が困難と思われる保護者等に対しては、精神的にも対応が辛く、つい「クレーマー」や「モンスターペアレント」と認定してしまうこともあるかと思います。しかしながら、早い段階で保護者を「クレーマー」や「モンスターペアレント」と認定すべきではありません。万が一当該保護者に伝わってしまった場合、信頼関係が崩れ、円満に解決ができる問題が解決できなくなってしまう場合があります。
そのため弊所では、「自分の理解できないことは怖い」ということを前提に、相手方がどのようなことを考え、何を要求しているのかを正確に把握するようにとアドバイスしています。場合によっては、相手方がその考えや要求に至った理由まで想像し、対応策を練ることが大切です。
強い要求をされた際は対応の記録をとる
保護者等から強く要求されたことで動揺してしまい、当該保護者の言い分を正確に理解できなかったり、自分が何を言ったのかを忘れてしまったりした経験は誰にでもあるでしょう。しかし、自分が言った言葉を忘れてしまうと、同じ保護者に「先生、あのときこう言ったじゃないですか」と言われたときにピンチになります。そのため、相手の言ったことだけではなく、自分の言ったことも記録しておくことが重要です。
録音時は相手方の承諾を得る必要はない
対応の経過を正確に記憶できていないことが原因で、保護者らから更なるクレーム等を受けることもあり得ます。そこで、保護者からの話を聞く場合には、録音をすることをおすすめしています。
録音時は、相手方が認識しない態様で録音しても問題はありません。相手方は、少なくとも対面している者に対しては、自分の話を聞かれることを前提として話しています。よって相手の話を録音したとしても、プライバシー権の侵害等にはなり得ません。
ただし心配な場合は、「言い分を正確に把握しておきたいので、録音させて頂いてもよろしいでしょうか?」と一言断りましょう。著者の経験上も、「やめてください」と録音を断られるケースは少ないです。
なお、昨今はほとんどの人がスマートフォンを持ち、いつでも会話を録音ができる環境にあります。こちら側が録音していないとしても、相手方が録音しているという前提で話すべきです。録音されていると意識すると、つい声を荒げたり、不適切な発言をしたりすることも防止できます。
録音はよいが、録画は避けるべき
話者は自分の顔等を含む容貌については、話を伝えるために不可避的に見せているにすぎません。容貌を記録することは、話者の権利(プライバシー権、肖像権等〕の制約の程度が大きくなりますので、録画は避けるのが無難と思われます。
なお、録音が許されるとしても、録音した音声は内部で確認する程度にしてください。SNSにアップする等の方法で外部に公開した場合は、当然ながら権利侵害の問題になりますので、取扱いには注意すべきです。