【公式】東京/富山で親身な弁護士は銀座高岡法律事務所

東京銀座/富山2拠点で都心と地方をカバーする法律事務所

【公式】東京/富山で親身な弁護士は銀座高岡法律事務所 【公式】東京/富山で親身な弁護士は銀座高岡法律事務所

お気軽にご相談ください

0766-88-9559

受付時間 9:30-17:00

メール

メール相談
お問い合わせ窓口

お知らせ/コラム
INFO/COLUMN

あおり運転を取り締まる道路交通法とは【弁護士が解説】

その他

2020.08.17

あおり運転を取り締まる道路交通法とは【弁護士が解説】

平成29年6月に起きた東名高速道路下り線での事故を契機に、あおり運転が大きな社会問題となっています。令和2年6月には道路交通法が改定されたこともあり、「あおり運転への処罰が厳しくなった」というニュースを耳にした人も多いのではないでしょうか。

この記事ではどのような行為があおり運転とされるのかと、あおり運転による罰則を、改正された道路交通法を踏まえつつ解説していきます。

 

道路交通法の改正で何が変わったのか

令和2年6月、道路交通法が改正され、いわゆる“あおり運転”行為を処罰する内容が明確化されました。なお、あおり運転は法律上、「妨害運転」と定められています。

改正前の道路交通法では、あおり運転の明確な定義が示されていないことや、速度の遅い運転を取り締まることはできないなどの問題点がありました。

しかし今回の改正後の道路交通法では、他の車両等の通行を妨害する目的で、要件に該当する他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある行為をした全ての運転者が処罰対象となったのです。たとえ実際に事故が起こっていなくても、要件を満たす行為を行った時点で処罰の対象となります。

それでは実際に、どのような行為があおり運転に該当すると決められたのでしょうか。

 

“あおり運転”に該当する行為 10類型

令和2年6月の改正道路交通法ではあおり運転に該当する行為として10の類型が定められています。

道路交通法 第117条の2の2

次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

11 他の車両等の通行を妨害する目的で、次のいずれかに掲げる行為であって、当該他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法によるものをした者

第17条(通行区分)第4項の規定の違反となるような行為

第24条(急ブレーキの禁止)の規定に違反する行為

第26条(車間距離の保持)の規定の違反となるような行為

第26条の2(進路の変更の禁止)第2項の規定の違反となるような行為

第28条(追越しの方法)第1項又は第4項の規定の違反となるような行為

第52条(車両等の灯火)第2項の規定に違反する行為

第54条(警音器の使用等)第2項の規定に違反する行為

第70条(安全運転の義務)の規定に違反する行為

第75条の4(最低速度)の規定の違反となるような行為

第75条の8(停車及び駐車の禁止)第1項の規定の違反となるような行為

 

あおり運転に該当すると定められたこれらの行為とは、具体的にはどのような行為なのでしょうか。ひとつずつ詳しくみていきましょう。

 

①第17条第4項(通行区分)

車両が蛇行したり、逆走したり、対向車線にはみだす行為

車両は、道路(歩道等と車道の区別のある道路においては、車道。以下第九節の二までにおいて同じ。)の中央(軌道が道路の側端に寄って設けられている場合においては当該道路の軌道敷を除いた部分の中央とし、道路標識等による中央線が設けられているときはその中央線の設けられた道路の部分を中央とする。以下同じ。)から左の部分(以下「左側部分」という。)を通行しなければならない。

 

②第24条(急ブレーキの禁止)

突如急ブレーキをかけることによる後続車両に対する妨害

車両等の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両等を急に停止させ、又はその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない。

 

③第26条(車間距離の保持)

一定の車間距離の不保持、前方の車両への後方からの急接近

車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない。

 

④第26条の2(進路の変更の禁止)第2項

自身が前方を走っているときに、突然速度や進路を変更することで、後続の車両に対して危険が生じる行為

車両は、進路を変更した場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、進路を変更してはならない。

 

⑤第28条(追越しの方法)第1項又は第4項

左側からの追い越しや、安全確認を怠った追い越し

第1項 車両は、他の車両を追い越そうとするときは、その追い越されようとする車両(以下この節において「前車」という。)の右側を通行しなければならない。

第4項 前3項の場合においては、追越しをしようとする車両(次条において「後車」という。)は、反対の方向又は後方からの交通及び前車又は路面電車の前方の交通にも十分に注意し、かつ、前車又は路面電車の速度及び進路並びに道路の状況に応じて、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない。

前方の車両を追い越すときには右側から追い越さなければならず、追い越す際には周囲の安全に配慮する義務を負います。左側からの追い越しや、追い越しの際に安全を確認しなかった場合も、あおり運転に該当します。

 

⑥第52条(車両等の灯火)第2項

過度のハイビームや執拗なパッシング等による妨害(減光等義務違反)

車両等が、夜間(前項後段の場合を含む。)、他の車両等と行き違う場合又は他の車両等の直後を進行する場合において、他の車両等の交通を妨げるおそれがあるときは、車両等の運転者は、政令で定めるところにより、灯火を消し、灯火の光度を減ずる等灯火を操作しなければならない。

 

⑦第70条(安全運転の義務)の規定に違反する行為

必要以上のクラクションの使用

車両等の運転者は、法令の規定により警音器を鳴らさなければならないこととされている場合を除き、警音器を鳴らしてはならない。ただし、危険を防止するためやむを得ないときは、この限りでない。

警音器(クラクション)は、理由がある場合には使用してもよいものです。しかし必要以上にクラクションを鳴らす行為は他の車に対する威嚇的な行為とされ、あおり運転行為の一つとして列挙されることとなりました。

 

⑧第70条(安全運転の義務)

安全運転義務に違反する行為

車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。

 

⑨第75条の4(最低速度)

高速道路上での最低速度以下の走行、通常の道路でのノロノロ運転

自動車は、法令の規定によりその速度を減ずる場合及び危険を防止するためやむを得ない場合を除き、高速自動車国道の本線車道(政令で定めるものを除く。)においては、道路標識等により自動車の最低速度が指定されている区間にあってはその最低速度に、その他の区間にあっては政令で定める最低速度に達しない速度で進行してはならない。

 

⑩第75条の8(停車及び駐車の禁止)第1項

高速道路での駐停車(例外を除く)

自動車は、高速自動車国道等においては、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため一時停止する場合のほか、停車し、又は駐車してはならない。ただし、次の各号のいずれかに掲げる場合においては、この限りでない。

一 駐車の用に供するため区画された場所において停車し、又は駐車するとき

二 故障その他の理由により停車し、又は駐車することがやむを得ない場合において、停車又は駐車のため十分な幅員がある路肩又は路側帯に停車し、又は駐車するとき

三 乗合自動車が、その属する運行系統に係る停留所において、乗客の乗降のため停車し、又は運行時間を調整するため駐車するとき

四 料金支払いのため料金徴収所において停車するとき

以上が今回の改正で定められたあおり運転行為です。これらの行為自体は改正前の道路交通法でも禁止等の規定がありました。しかし改正法では、これらがあおり運転に該当すると明確にした上で、違反した場合の罰則を定めたのです。

 

あおり運転による罰則について

改正道路交通法において、あおり運転に該当した場合の罰則は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金と定められました。さらに、運転免許の行政処分の対象(基礎点数25点)ともなります。

また、あおり運転を高速自動車国道および自動車専用道路において行った場合には、その危険性の高さから、さらに重い罰則として5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。運転免許の行政処分は基礎点数35点と、通常よりも重いです。

 

道路交通法以外のさらに重い処罰の法律

ちなみに、道路交通法と類似の規定の「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」という法律があるのをご存じでしょうか。「危険運転致死傷罪」といえば一度は聞いたことがあると思います。

この法律に定められている「危険運転致死傷罪の妨害運転致死傷」は、主として他の人や車両の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、他人を死傷させた場合に重罪として処罰されることを定めています。

実は、この法律も令和2年の道交法改正とほぼ同時に改正がなされ、次の行為が新たに処罰対象となりました。あおり運転も含まれますが、より危険な場合を想定しているものといえるでしょう。

 

第2条第5号

車の通行を妨害する目的で、走行中の車(重大な交通の危険が生じることとなる速度で走行中のものに限る。)の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転する行為

 

第2条第6号

高速自動車国道(高速自動車国道法(昭和三十二年法律第七十九号)第四条第一項に規定する道路をいう。)又は自動車専用道路(道路法(昭和二十七 年法律第百八十号)第四十八条の四に規定する自動車専用道路をいう。)において、自動車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転することにより、走行中の自動車に停止又は徐行(自動車が直ちに停止することができるような速度で進行することをいう。)をさせる行為

 

これらは、走行している車の前で急に停止したり接近したりすることで、追突・衝突させようとする危険な運転の仕方を処罰の対象とするものです。あおり運転も大変危険な行為ですが、この法律ではさらに重い処罰を課せられる重大な危険行為について、処罰の対象を明確にしています。

 

おわりに

道路交通法の条文は、免許取得時の学科試験や免許更新時の講習くらいでしか接点がない人が多いですよね。私も通勤の際に自動車を運転していますが、この記事を作成しながら、法律やマナーを守った運転への認識を改めて強くすることができました。改正された道路交通法について正しく知るとともに、交通ルールを守った安全な生活を送りましょう。

 

この記事に関してのお問い合わせやご相談は問い合わせフォームより承っています。他にも離婚、相続等のご相談もお気軽にご連絡ください。

ご相談の依頼はこちらから。

執筆担当 吉田

電話/メールフォームより
お問い合わせください

初回相談無料 /
オンライン打合せ対応

電話相談可能

0766-88-9559

受付時間 9:30-17:00

メール相談可能

メールで相談する
ページトップ
pagetop