破産手続開始通知書が送られてきたらどうする?【弁護士が解説】
法的手続の解説等 | 借金(債務整理/破産)
2021.06.21
破産手続が開始されると、破産の申立てをおこなった人(「申立人」「破産者」等と称されます)が提出した資料を元に、裁判所は債権者(特定の人物に対して一定の給付を請求できる権限を持つ人)に対して破産手続開始通知書を送付します。破産手続開始通知書は、裁判所からの通知書面ではありますが、訴状等のように特別送達の形式ではなく、普通郵便で送付されます。
以下、破産手続開始通知書が送られてきたときの対応についてみていきましょう。
破産手続開始通知書が送られてきたときの対応
1.破産事件が管財事件であるのか、同時廃止事件であるのかを確認する
(1)管財事件とは
管財事件とは、破産管財人が破産者の財産を換価処分して、債権者に配当する事件をいいます(破産法31条1項)。破産管財人は裁判所によって選任されますが、その仕事内容に高度な法的知識が求められることから、弁護士が選任されることが一般的です。破産管財人は破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利を有しています。管財事件の場合には、債権者集会への出席や債権届出を行います。
(2)同時廃止事件とは
同時廃止事件とは、破産手続開始段階で、破産手続費用を支払うだけの財産が不足しているときに、開始と同時に手続を終了する事件をいいます(破産法216条1項)。
2.事件に応じた法的対応を進める
(1)管財事件の場合
①債権者集会に出席する
管財事件の場合には、破産者の財産状況を報告するため、裁判所で期日が開かれます。裁判所で開かれる期日のことを債権者集会といい、破産手続開始通知書には、日時や場所が記載されています。
債権者集会に出席するかどうかについては任意であり、出席しなかったことによって配当が得られないといった不利益はありません。もっとも、債権者集会に出席すれば管財人に対して質問を行うことができます。また、債権者からの情報提供により、破産者の隠匿財産の有無について調査が開始されることもあります。
②債権届出を行う
管財事件において、破産手続開始時に債権者に対する配当が可能であると見込まれる場合には、破産債権届出書が同時に送付されます。債権者が配当を受けるためには、破産債権届出書に必要事項を記載し、債権があることを裁判所に証明する書類のコピーを同封して提出しなければなりません(破産法111条)。
具体的には、以下の必要事項を記載します。
- 破産債権の額及び原因
- 優先的破産債権(賃金請求権等)であるかどうか
- 別除権から優先的に弁済を受けることのできないと見込まれる債権額(別除権がある場合)等
破産債権届出書の提出に必要な書類
その債権を証明する書類(契約書、納品書や請求書等)の写しを添付しなければなりません。破産債権届出書を提出しても、債権の証明資料が十分なものではない場合には、配当を受けられないことがありますので注意が必要です。
配当について
破産事件の進行によっては、破産管財人が財産を調査した結果、十分な配当をする財産がなかったという理由から、配当がなされない可能性もあります。また、逆に破産手続が開始された時点では配当ができないと思われていたものの、破産管財人の調査により配当が可能となり、その時点で破産債権届出書が送付されることがあります。
(2)同時廃止事件の場合
破産者が免責されるかどうかについて、意見を述べることができるにとどまります。
免責について物申してもいい?
管財事件・同時廃止事件のいずれであっても、債権者は破産者の免責について意見を述べることができます。この意見は「破産してもらっては困る」といった感情的な意見を述べるのではなく、破産者についての事実関係とその事実が免責不許可事由に該当することを述べなければなりません(破産規則76条2項、破産法252条)。
まとめ
破産手続開始通知書が送られてきたら、まず管財事件か同時廃止事件かの確認をします。その後、事件に応じて、法的な対応を進める流れです。弊所でも、破産手続きに関する相談を受け付けています。お気軽にお問い合わせください。
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